皆さん、こんにちは。
埼玉県比企郡吉見町で屋根工事を手掛けている吉見スレート工業です。
春の訪れを知らせてくれる春一番。
名前からは、暖かな春風のイメージがありますが、別名『春の嵐』と呼ばれるほど、日本列島に強い風を吹かせ、多くの被害をもたらします。
そこで本日は、春の強風の特徴や、その強風によって建物の被害が出やすい場所と対策を詳しく解説いたします。
はじめに
私たちが住んでいる日本は、「風の国」と呼ばれるほど風に馴染みの深い国です。
その理由は、日本列島が南北に長く、周りが海で囲まれているため、海流によって冬に偏西風、夏に南東風と四季を通じて様々な特徴の風が吹くことと関係しています。
この季節ごとに吹く風は生活環境に大きな影響を与え、特に2月から3月半ばの南寄りに吹く風によって、建物の強風被害が多く発生する傾向にあります。
実際に、この季節になると「屋根の一部が庭に落ちているので、状態を見て欲しい」「外壁が剥がれかかっていて、風が吹くたびにバタバタと煽られていて怖い」といったお問い合わせが多くなってきます。
春一番とは?
春一番は、立春から春分までの間に、日本海に発達した低気圧によって、その年に初めて南寄りの風が強風(最大風速8メートル以上)となることを指します。地域ごとに基準は異なりますが、一般的に以下の条件を満たす場合に「春一番」と発表されます。
・立春から春分までの間
・南寄りの風が強風(最大風速8メートル以上)
・気温が前日より高くなる
・関東地方では、風向が南から南西、風速が10メートル以上
春一番の特徴
春一番は、春の訪れを告げる風物詩として知られていますが、突風や竜巻を伴うこともあり、注意が必要です。また、春一番が吹いた後は、再び寒さが戻ることもあります。
春の強風は、突発的に発生するという特徴があります。特に、低気圧や前線の接近によって発生する突風は、瞬間的に強風になる可能性があり、さらに下から上に向かって巻き上げるように吹き上げるため、建物に大きな負荷を与えます。
また、春は気温が上がり始める時期なので、雪が積もる地域では雪解け水による屋根への重みも加わります。重みと強風のダブルパンチで、屋根材の破損や飛散、雨漏りなどの被害が発生しやすくなります。
春の強風が建物に与える影響
春の強風によって、以下のような被害が発生することがあります。
【 屋根材や外壁材の飛散 】
屋根に関わる場所や外壁材が強風によって飛ばされ、周囲の建物や人・車に被害を与える可能性があります。
また、それらの一部分が巻き上げる強風で剥がれると、接地している屋根材や外壁材と共に木の下地が同時に破損し、雨漏りの原因にもなります。
【 倒壊 】
強風によって建物全体が倒壊する可能性は低いですが、老朽化や構造上の問題がある場合は対策をしたほうが良いでしょう。
被害に遭いやすい4箇所
強風による被害は、どんな建物にも起こり得ますが、特に屋根においては以下の5つの箇所に影響が出やすいので注意が必要です。
【 棟板金 】
棟板金とはスレート屋根やガルバリウム鋼板などの金属屋根によく見られる部材のことです。屋根の頂点部分(接合部分に)に被せる金属素材の山形の板で、雨水の侵入を防ぐ重要な役割があります。一般の方の棟板金に対する認知度が低くあまり重要視されていませんが、必要不可欠な箇所です。
屋根の頂点部分(接合部分)を棟(むね)といい、下から順番に葺いたスレートやガルバリウム鋼板の屋根材を、貫板という木の板でおさえ、上から山形の板金を被せることで雨水の侵入を防いでいます。
このような構造をしているため、強風によって棟板金が浮き上がると、飛散してしまう危険があるだけでなく、屋根材そのものの損傷にもつながります。
【 波板 】
カーポートやベランダの屋根に使用されている樹脂製の材料をポリカ波板と呼びます。前側と左右の3方向から風を受けてしまうので、強風の被害を受けすいでしょう。
屋根材の設置は下地に固定する施工方法ですが、ポリカ波板は1枚の大きな板を金属の骨組みにプレートやフックで固定するシンプルな構造のため、下から煽られる強風でめくれ上がるように破損します。
通常、雪の重みや経年劣化で部分的に抜け落ちてもすぐに困ることはありませんが、バタバタと外れかけていた波板が強風で飛散することがあります。
【 軒天 】
軒天は軒裏とも呼ばれ、屋根の軒先の裏面に取り付けるボードのことで、耐火性のある化粧合板やケイカル板が使用されています。建物から屋根がどれくらい飛び出すかによって軒天の大きさは様々で、屋根があっても軒天が無い家もあります。
火災時の燃え広がりを抑止するための重要な箇所で、さらに、雨風が直接当たらないように外壁を保護する傘のような役割や、軒天があることで屋根の裏部分を強風や湿度から守ります。
雨染みが出来ていたり、軒天が部分的に剥がれている場合は、強風で状態が悪化することが多いです。
【 雨樋 】
雨樋は、建物の軒先や端に取り付けられており、一般的にはポリ塩化ビニルが使われています。単に『とい』や『とよ』と呼ぶこともあります。
屋根に降った雨水を集めて速やかに地面まで導き排水する役割を持つ建材です。雨樋が無いと雨水は集水されるとなく軒先や破風板、外壁を流れていくため、それらの劣化を早めたりクラック(ひび)から雨水が侵入するなどして雨漏りの原因になります。
すでに劣化が進んでいる雨樋は、金具や繋ぎ目が外れてしまい、吹き付ける強風で部分的に飛ばされる危険があります。
それぞれの被害原因と対策
【 棟板金 】
原因①:風圧による浮き上がり
強風によって屋根全体に大きな力がかかり、棟板金が浮き上がってしまうことがあります。特に、以下の場合、浮き上がりやすくなります。
・経年劣化で棟板金を留めている釘が抜けている
・貫板の腐食で釘が効かず棟板金が浮いている
原因②:風による振動
強風によって棟板金が振動し、釘やビスなどの取り付け金具が緩んでしまうことがあります。取り付け金具が緩むと、棟板金が剥がれやすくなります。
原因③:飛来物による破損
強風によって飛ばされた物体が棟板金に当たり、破損してしまうことがあります。
対策:目安として築年数が7年を超えたら、棟板金の釘が抜けていないか点検をしてもらいましょう。必要に応じて釘の打ち直しや、釘頭をコーキングで留めて再度釘が抜けるのを防ぎます。
また、すでに貫板がボロボロの状態で棟板金が浮き上がっている場合には、貫板ごと新しくすることで棟板金が飛散する心配が無くなります。
【 波板 】
原因①:吹き上げる強風でめくれる
下から上に向かって巻き上げるように吹く風によって、部分的もしくは全体が剥がれてしまうことがあります。カーポートのポリカ波板は、すでに一枚が抜け落ちている場合は、2枚目3枚目と次々にめくれてくる危険もあります。
原因②:固定金具の外れ
波板を固定しているフックやビスが腐食したり、1年を通して吹く風で波板自体がパタパタと動くことで固定金具が緩んで外れるケースがあります。金具が固定する役割を果たせないと、波板は強風で簡単に飛んでしまいます。
対策:日当たりの良い方角に設置されたベランダのポリカ波板は紫外線のダメージを受けて変色し割れやすくなります。また、波板そのものは、細かい砂が溜まりやすく苔が生えることもあるので、固定金具の腐食も進みます。変色や割れに気が付いたら、出来るだけ早いうちに波板の張り替えを行うことをオススメします。
【 軒天 】
原因①:化粧合板のめくれ
化粧合板のプリントは、劣化してくると表面がめくれてくることが多いです。そのまま放置しておくと、風が当たる面積が増えて吹き飛びやすくなります。
原因②:ケイカル板の雨染み
ケイカル板は、めくれるといったことはありませんが、雨染みが目立つようになります。雨染みがあるということは、どこかで雨漏りしている可能性があり、最終的には腐食した場所は強風がきっかけとなり一気に抜け落ちます。
対策:軒天の状態により、重ね張りや張り替えなどのメンテナンスを行うことで強風による被害を防ぐことができます。
【 雨樋 】
原因①:柔軟性が無くなり割れる
雨樋はポリ塩化ビニルという樹脂製のため、紫外線で硬化が進むと柔軟性がなくなり、強風に耐えられずに割れやすくなります。
原因②:固定金具の劣化や緩みで落下
古い雨樋は、固定している金具類も劣化が進んでいることが多く、強風で折れ曲がったり落下することも少なくありません。
対策:特に雨や雪、強風の前には、雨樋がしっかりと固定されていることを確認して下さい。また、雨樋に亀裂や歪みなどの異常がないかも、定期的に確認しましょう。
まとめ
強風の被害といっても、環境や築年数によって大きなものから小さなものまで様々あります。
また、飛散した部材が隣家や車にぶつかり破損させてしまったり、歩行者にケガをさせてしまうことも考えられます。
皆さん自分の身を守るためだけではなく、第三者にも被害が及ばぬよう、日頃からの定期点検やメンテナンスで強風の対策をしっかりと行いましょう。
春の強風対策のご相談は、吉見スレート工業までお気軽にお問い合わせください。
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