皆さん、こんにちは。
埼玉県比企郡吉見町で建築板金職人として屋根工事を手掛けている吉見スレート工業です。
数年前から、梅雨時期の長雨やゲリラ豪雨、突風、激しい雨が数時間にわたり同じ地域に降り続く線状降水帯による住宅への被害をニュースなどで目にする機会が多くなってきました。
皆さんは、ご自宅の屋根が今現在どのような状態かご存じですか?
「見えないからしょうがない」、「雨漏りしていないから大丈夫」、と日頃からメンテナンスに目を向けていない。また、屋根の一部が落下していたり、棟板金が浮いていると具体的に指摘されても、そもそも屋根の修理はどこに頼めばいいのか分からないし、板金って何?という方が多いのが現状です。
そこで今回は、毎年必ず訪れる雨や強風の季節に安心して暮らせるよう、屋根リフォーム工事は板金職人に依頼するべき理由を詳しく解説します。
はじめに
日本の住宅は、雨風や雪などの自然災害から家を守るため、伝統的な瓦屋根やスレート屋根に加え、近年ではガルバリウム鋼板などの金属製の屋根材も広く普及してきました。それらの屋根材と同様に建物にとって重要な役割を果たしているのが、『建築板金』です。薄い金属板を使って、雨水の侵入を防ぐための屋根材どうしの隙間や屋根材と外壁材の隙間を埋める技術は、奈良時代に大陸から伝わり、江戸時代になると町屋や武家屋敷などに用いられるようになりました。
現在の日本の住宅のほとんどは、この建築板金がどこかに使われてており、実は非常に身近で、なくてはならない存在です。
屋根の構造と建築板金
建物の屋根は、屋根材だけで出来ているわけではありません。新築やリフォームの建築現場で、屋根のかたちに木材が組まれ、そこに板が張られ、その上にシートが被せられていく…というような工程を目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
屋根の構造や、それぞれの部材・部位の役割を知ることで、屋根リフォームや点検をどの業者に依頼するのが適切か、ご自身で判断することができます。
屋根は主に屋根下地である垂木、野地板、防水シートと、最も外側の屋根材、そして、それらに付帯する金属板・板金部材=建築板金で構成されています。
【屋根下地】
屋根下地は屋根の骨格となる部分で、防水性や耐風性を担保する役割を担っています。一般的には、垂木、野地板、防水シートが用いられ、それぞれが以下のよう役目を果たしています。
垂木(たるき)…屋根の頂上である「棟木」から下方の「棟桁」にかけて斜めに設置される木材です。屋根に張る野地板や屋根材を支える屋根の骨格とも言われる重要な部分です。
野地板(のじいた)…野地板とは屋根の下地に使用される平たい木材のことです。野地板の上に後述する防水紙(防水シート)を貼り、そこに屋根材を打ち付け固定させています。
野地板と防水シートと屋根材が一体になってはじめて、丈夫で防水性の高い屋根ができあがるのです。
防水シート・ルーフィング…ルーフィングとも呼ばれる防水シートは野地板の上に敷かれます。屋根材の隙間から入り込んでくる雨水が屋内に侵入するのを防ぎ、軒先へ排水します。
【屋根材】
仕上げとして防水シート・ルーフィングの上に設置されるのが皆さんが目にする屋根材です。 建物を雨や雪、日差しから守る働きがあります。
常に紫外線を浴び雨や風にさらされるので、それらに強い材料が使われ、瓦、スレートなど、金属板など様々な種類があります。
※屋根材を1次防水、防水シートを2次防水と呼びます。
【建築板金】
建築板金は、屋根材の接合部分や雨仕舞いなどを担う金属製の部材を指します。具体的には、棟板金、軒先板金、破風板、軒天、雪止め金具、雨押え板金などが含まれます。これらの部材は、接合部分などからの雨漏りや雨の侵入による木材の腐食を防ぐ役割を担っているので、ガルバリウム鋼板が用いられます。
棟板金(むねばんきん)…棟とは屋根の頂上のことです。その頂上の屋根材の繋ぎ目から雨が漏れないように取り付けるのが棟板金です。屋根の一番高いところのため、固定する釘が腐食することで板金が浮いて剥がれてしまします。
軒先板金…軒先は屋根の最も先端部分のことです。雨水が集中する部分で屋根の中でも真っ先に腐り始めるので板金を取り付けます。軒先唐草とも呼ばれます。
破風板金…建物に吹いてきた風を切り裂いて分散させ、屋根が飛ばされることを防いでいるのが破風です。木材で出来ている破風板と保護するために巻くのが破風板金です。
軒天…軒天とは壁から出ている屋根の裏側の事をいいます。防水・防風・屋根の内側の目隠し・延焼防止の効果があり、木製かケイカル板が使われているので、腐食を防ぐために板金で上からカバーします。
雪止め金具…雪止め金具は、降り積もった雪が屋根から落ちて人にぶつかる・雨どいに雪がたまり破損する、などのトラブルを防ぐことを目的とし屋根に取り付ける金具のことです。新築時には付いていなくても、後から取り付けることができます。取り付け自体は難しい作業ではありませんが、屋根に合った位置や個数でないと効果を発揮しません。
雨押え板金…雨押え板金は、屋根と外壁の接する部分(繋ぎ目)に取り付ける板金です。屋根と外壁の取り合い部分は、そもそも違う素材が接する箇所のため完全には接合せずに、わずかな隙間ができてしまいます。その隙間に外壁を伝ってきた雨水が隙間から侵入して、雨が漏れやすい場所でもあります。そのため雨押え板金を取り付けることで、雨水が内部に入らないように守っているのです。
※流れてきた雨水を適切に排水するのが雨仕舞であり、雨仕舞では数多くの水切り板金を使用します。
屋根工事業者と板金業者
屋根の構造と、それらに付帯する様々な板金の役割についてお話しましたが、実際に雨漏りが発生したり、リフォームを検討する場合には、どのような業者に依頼したら良いのでしょうか?
屋根リフォーム工事というと、瓦工事や雨漏りの修理業者などのイメージが強いかもしれません。また、建物のことは大工さんに全てお任せすれば良いと思われている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実は屋根工事を行う業者は大きく分けて2つあります。
【1つ目】
瓦を扱う業者です。「瓦屋さん」や「葺き師」などと呼ばれることもあり、その名の通り和瓦や洋瓦を扱います。
【2つ目】
建築板金の業者です。「板金屋さん」とも呼ばれ、住宅はもちろん神社・仏閣などのさまざまな建物に欠かせない金属建材を使用した工事の全般を担当し、金属屋根の工事はもちろん、金属製の外壁や雨樋などの工事も行います。また、金属製以外の瓦やスレート屋根でも、雨水の侵入を防ぐために屋根材どうしの隙間や屋根材と外壁の隙間などを埋めるのも建築板金職人の仕事です。
つまり、建築板金とは瓦葺き以外の屋根の工事全般、金属製の外壁や雨樋、雨水を排出する水切り板金の設置など、建物を雨漏り・腐食から守るための高度な技術で施工することをいいます。
板金職人にリフォームを任せる理由
屋根にはさまざまな形状がありますが、どのような形状の屋根でも、全体が均一に雨水に強いわけではありません。どのような形状の屋根でも、またどのような屋根材でも、接合部分や先端部、側面、谷状で雨水が集まる形状は、建物の中で最も影響を受けやすく、雨漏りを発生させるリスクがあります。
建築板金は、こうした屋根の弱点となる部分を強化するために重要な存在です。
雨や風の影響を受けやす箇所を熟知し、雨漏りした理由や原因を徹底的に探ることができるプロの職人に屋根のリフォーム工事や修理を依頼することで、大切な住まいを長持ちさせ、より安心して暮らせるようになるのではないでしょうか。
まとめ
人生100年時代において、住み慣れた家で快適に暮らすためには定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。住まい全体の大規模な修繕が必要となる前に、経年劣化した屋根のリフォーム工事や雨漏りの部分修理は専門業者に依頼しましょう。
熟練したプロの建築板金職人による屋根リフォーム工事と各種板金工事は、吉見スレート工業にお任せください!!🔨
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