皆さん、こんにちは。
埼玉県比企郡吉見町で建築板金職人として屋根工事を手掛けている株式会社吉見スレート工業です。
はじめに
梅雨や台風の季節、来客が多くなるお盆や年末年始前に、「雨樋の修理って何屋さんに頼めばいいか分からない」というお問い合わせを頂くことがあります。実は雨樋の修理やメンテナンスは、依頼する業者によって仕事の質や修理費用が大きく変わるのをご存じですか?普段はあまり目にする機会がなく重要視されない雨樋ですが、住まいにとっては必要不可欠な部材の一つです。そこで今回は、雨樋の役割や失敗しない業者選びのポイントを詳しく解説いたします。
なぜ雨樋工事が必要なのか?
雨樋は、建物の屋根から流れ落ちる雨水を効率よく地面に排水する役割を担っています。一般的な雨樋の耐用年数は約20年と言われており、排水機能が正常に働かないと以下のような問題が発生する可能性があります。
雨漏り
雨水が壁や天井をつたい、室内に浸水することで雨漏りの原因になります。
外壁の劣化
雨水が外壁に長時間当たり続けると、塗装が剥がれたり、ひび割れが発生したりします。
住宅基礎の腐食
雨水が住宅基礎に浸透すると、鉄筋が錆びてしまい、建物の強度が低下してしまう恐れがあります。
周辺環境の汚染
雨水が庭や駐車場に流れ込み、植物が枯れたり、車が汚れたりします。
雨樋の形状や素材
一口に雨樋と言っても、形状・素材・部品などによってさまざまな種類があります。
また、住宅用だけでなく工場や体育館などの大きな施設で使われる大型のものもあり、建物や地域ごとの降水量に応じた雨樋を使用しなくてはなりません。長くしっかりと機能してくれるように種類や素材を見直してみましょう。
【形状の違い】
半丸型
・一番よく知られている形状で、筒を半分に切ったような形をしています。
・シンプルで価格が比較的安価です。
・一般住宅の雨樋として長く使われてきた形状ですから、ご自宅の雨樋が半円型という方も多いでしょう。
角型
・断面が四角形をしている雨樋で、丸型に比べて流水量が多く、詰まりにくいのが特徴です。
・かつて主流だった半丸型に代わって近年よく見られるようになりました。今後の定番になる雨樋の形状と言えるでしょう。
リバーシブル型
・断面を見ると、一方が丸みを帯び、逆側が角ばっています。どちらを表面に出すかは自由に決めることができます。
・「丸みのある形状がいいけれど、流水量もほしい」という方にオススメです。
内樋型
・雨樋を外側に見せず、屋根の内側に隠すような形状が「内樋型(箱樋型)」です。
・外観をすっきりさせたい場合に適しており、デザイン性の高い外観を重視したい人によく選ばれます。
【素材の違い】
塩化ビニール
・雨樋の素材のなかでも、よく選ばれているのが塩化ビニール樹脂製のものです。
・塩化ビニール樹脂製の雨樋の最大のメリットが安さです。
・バリエーションも豊富なのご自宅に合ったタイプのものが入手できます。
・樹脂特有の柔軟性があるので多少負荷がかかってもすぐに曲がるようなことがありません。
・耐熱性と耐衝撃性に乏しいため、紫外線や雨風といった自然の影響を受けやすい環境に長くあると劣化しやすいというデメリットがあります。
ガルバリウム鋼板
・屋根材として注目度の高い「ガルバリウム鋼板」は、雨樋としても使われることがあります。
・アルミニウムと亜鉛でメッキされていることで錆びにくく、耐久性が高い金属素材です。
・金属特有のシャープとスタイリッシュな印象が魅力です。
・価格的には高めな点がデメリットと言えるかもしれません。
・耐久性があって長持ちするという特徴を総合的に考えると、施工時に材料や施工費で高額と感じても、長い目で見るとオススメな素材と言えるでしょう。
銅
・美しく豪華な印象があるため、お寺などの銅板屋根に雨樋として使われる傾向にあります。
・銅は酸化によって独特の緑青が生まれるのが魅力です。
・金属の中でも錆びにくく耐久性もあり、素材の風合いの変化を楽しみつつ、雨樋を使い続けることができます。
アルミ・ステンレス
・熱の影響を受けづらく、錆びに強いアルミやステンレスの素材の雨樋もあります。
・高耐久という特徴を持ちながらも、ほかの素材の雨樋と比べると価格面で高額のため、ビルや大型の施設で使われるのが一般的です。
雨樋の工事方法と費用
雨樋は、直射日光や雨、風の影響や落ち葉などが詰まることで劣化し、穴が開いたり割れたりすることがあるので、このような場合には適切な処置を行う必要があります。
雨樋の工事方法は、大きく分けて修理・補修・交換の3つと清掃があります。
1. 雨樋の修理 数千円~2万円程度
軽度の破損(小さな穴、ひび割れなど)に対して行われるのが修理です。
コーキングによる補修
小さな穴やひび割れに雨樋の素材に合わせた色のコーキング剤を充填します。手軽に行えますが、大きな損傷には不向きです。
パテによる補修
コーキングよりも強度があり、少し大きな穴にも対応できますが、硬化する時間を要します。
アルミテープによる補修
穴を覆うようにアルミテープを貼ります。応急処置として有効ですが、見た目が目立つ場合があります。
修理のメリット…コストが比較的安価で短時間で作業できる。
修理のデメリット…大きな破損には対応できない。一時的な処置の場合もある。
2. 雨樋の補修 2万円~5万円程度
修理よりも広範囲な損傷に対応するのが補修です。
破損部分の切除とつなぎ合わせ
破損した部分を切り取り新しい樋とつなぎ合わせ、溶接やリベットなどで固定します。
金具の交換
固定金具がサビや腐食により破損している場合は、新しい金具に交換します。
補修のメリット…修理よりも大規模な損傷に対応できる。
補修のデメリット…修理よりも費用がかかる。専門的な知識や技術が必要な場合がある。
3. 雨樋の一部または全交換 3万円~50万円程度(足場代込み)
雨樋全体が老朽化して折れたり、屋根先からぶら下がってしまうほど大きな破損がある場合は、交換が最も確実な方法です。
既存の雨樋を取り外し、新しい雨樋を取り付ける
材質や形状、長さなどを考慮して、適切な雨樋を選びます。専門業者に依頼するのが一般的です。
交換のメリット…雨水の排水がスムーズになることで雨漏りの心配がなくなる
交換のデメリット…コストが高い、作業に時間がかかる
寿命を迎えつつある雨樋は、「紫外線で色褪せている」「割れている箇所がある」「ゆがんで形状が不自然な部分がある」などの症状が見られます。
全交換をすると費用がかさむと思うかもしれませんが、これからも住み続ける家であれば、お住まいの寿命を高めるという意味でも効果的です。
4. 雨樋の清掃 条件により無料~数万円
一般的に、春と秋の年2回が目安ですが、周辺環境や樹木の種類などによって清掃頻度が変わる場合があります。特に、落ち葉が多い地域や、大きな木が近くにある場合は、ゴミや土が詰まりやすいので、より頻繁な清掃が必要となるでしょう。
業者選びのポイント
雨樋の工事をどこに頼むか悩みますが、主に4つの選択肢があります。ご自身が求めているサービスや価格に合った事業者を選びましょう。
①ハウスメーカーや工務店
住まいに不具合が生じた場合の相談先として真っ先に思い浮かぶのは、ハウスメーカーや地元の工務店ではないでしょうか。大手という知名度や安心感を得たい方にはオススメですが、工事を外注業者に発注するため、マージンが発生して価格が上がる傾向にあります。
②ホームセンター
買い物ついでに相談できるので、その気軽さが一番のメリットと言えるでしょう。ホームセンターの場合も工事は外注業者が行いますが、そもそもホームセンターで取り扱っている商品の種類が少なく細かい注文が難しいことが多いです。
③屋根工事業者
屋根工事業者は『屋根の専門家』です。雨樋は屋根に取り付けられているため、雨樋修理のプロともいえるでしょう。足場をかける屋根工事を行うタイミングで同時に雨樋も修理することで費用を抑えられます。また、雨樋の選び方や設置場所などについて職人さんと直接話したいという方にもオススメです。悪徳業者と優良業者の見分けが難しい点がデメリットです。
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④塗装業者
塗装業者も雨樋修理ができるところが多いので、塗装工事の予定がある方は一緒に雨樋も修理することで、屋根工事と同様に足場費用を節約できます。
費用を抑えるコツ
【大規模な修繕が必要になる前に早めに工事を依頼する】
小さな破損だけであれば数時間の工事で費用も安いことが多いので、異変を感じたらすぐに点検・修理を依頼しましょう。
【屋根や塗装工事と同時に依頼する】
雨樋の修理のためだけに足場をかけるのはもったいない!屋根の修繕や塗装工事をするタイミングで雨樋の工事をすることで足場費用を節約しましょう。また、それらの工事を直接請け負ってくれる業者に依頼することでマージンが発生せず費用を抑えられます。
【複数業者で見積もりを取る】
雨樋工事の費用を安く抑えるためには、複数の業者で見積もりをとり、工事費用の相場を知ることも大切です。また、工事内容を比較することで悪徳業者を見分けられるというメリットもあるので、工事を行うときには複数の業者で見積もりを取りましょう。
まとめ
雨樋は、一見すると小さな設備ですが、住まいの寿命を左右する重要な役割を担っています。定期的なメンテナンスや早めの修理を行い、快適な暮らしを維持しましょう。
雨樋の修理・交換工事は、屋根の専門家・雨樋のプロである吉見スレート工業にお任せください!!
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